産業用マーキング 製品特長 産業用マーキングお役立ちコラム ダイレクトパーツマーキングとは?自動車産業に適した印字方式と読み取り時の問題点

ダイレクトパーツマーキングとは?自動車産業に適した印字方式と読み取り時の問題点

公開日:2024.04.01

トレーサビリティが注目される現代において、マーキングの正確性が自動車産業の課題となっています。マーキングの工程を効率化したいものの、どのような印字方式を選ぶべきかお悩みの企業の方も多いのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが、耐久性・汎用性の高いダイレクトパーツマーキングです。

本コラムでは、ダイレクトパーツマーキングの重要性と自動車産業に適した手法を解説いたします。ダイレクトパーツマーキング導入によるメリットと読み取り時に問題となるポイントについても詳しくまとめました。ダイレクトパーツマーキングをローコストかつ手軽に導入する方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

「ダイレクトパーツマーキング」とは

ダイレクトパーツマーキング(DPM)とは、識別番号や製造日などの情報を付与する際、ラベルを貼り付けるのではなく対象物へ直に印字することです。文字や数字、図形のほか、バーコード・QRコードなどの各種コードを用いてダイレクトパーツマーキングが施されます。

自動車産業に適したダイレクトパーツマーキングの印字方式

自動車産業においてよく採用されているダイレクトパーツマーキングの手法として、次の4種類があります。

  • レーザーマーカー
  • インクジェットプリンタ
  • 刻印機
  • スタンプ

レーザーマーカー

レーザーマーカーとは、可視光線を当てた際に発生する化学反応を利用した印字機です。出力を調節できるようになっており、対象物の素材や用途、保存期間に応じて印字の深さを決められます。設定に合わせてレーザーが正確に照射されるため、精度の高い印字が可能です。

ただ、レーザーマーカーは非常に高価な機器であり、イニシャルコストが大きくなる傾向にあります。また、打刻機など印字を直に刻み込むタイプの印字機より彫りが浅く、表面処理のプロセスを繰り返すとマーキングが消えるおそれが否めません。さらに、高熱による悪影響が懸念されるため、使える素材が限定的です。非常にハイパワーで危険性も高く、高い操作技術が必要ですので、安全対策を徹底した運用が求められます。

インクジェットプリンタ

インクジェットプリンタとは、対象物へインキを吹き付けて印字する機器です。凹凸のある印面にも、スピーディーかつくっきりと印字できます。インクジェットプリンタは比較的設置しやすく、操作方法もレーザーなどより手軽です。

ただし、対象物に汚れが付着していると、インクジェットプリンタではきれいに印字できません。また、摩耗に弱く経年劣化により印字が薄れるおそれがあるため、長期的な使用が前提の製品・パーツには向かないという特徴があります。

刻印機

刻印機とは、対象物を直接打刻し、印字を刻み込む機器です。刻印の深さで調節した光の反射を利用し、情報を読み取るしくみになっています。コードを点で表現するドットピンマーキングも、刻印機の一種です。刻印機は印字機自体が安価であり、導入時のコストが抑えられます。

ただ、刻印機はイニシャルコストが低いものの、定期的なパーツの取り替えが必要なため、ランニングコストがかさみがちです。また、打刻機でコードをダイレクトパーツマーキングした場合、印字の形状と配置が特殊になる傾向にあり、通常の読み取り機では対応できません。薄い素材に使用すると、貫通して穴が開くおそれがある点にも注意してください。

スタンプ

トレーサビリティを高めたいものの、予算に余裕がない場合の手段として、スタンプによるダイレクトパーツマーキングが挙げられます。アナログな方法ですが、スタンプなら持ち運びにも便利であり、使いたいときにすぐマーキングできる手軽さが魅力です。

導入・運用もローコストのため、ほかの印字方式との併用の際も負担が最小限です。実際に、金属パーツの生産ラインにおける識別記号やチェック時の検印などのマーキングには、スタンプがよく用いられています。

自動車業界でのダイレクトパーツマーキング導入のメリット

自動車業界におけるダイレクトパーツマーキング導入で得られる大きなメリットは下記の2つです。

  • トレーサビリティが確保できる
  • 小さな部品にも印字しやすい

トレーサビリティが確保できる

自動車の部品などにダイレクトパーツマーキングを施し、情報を読み取ることで、半永久的に製造・物流ルートを追跡することが可能です。製品のリコールの際にも容易に所在が明らかになるため、スピーディーな対応が実現します。また、対象物に印字を直接刻み込めば、改ざんのリスクも少なく、途中で追跡できなくなる心配がありません。トレーサビリティが確保できれば、顧客満足度も向上し、メーカーとしての信頼性が高まるでしょう。

小さな部品にも印字しやすい

二次元コードなどをダイレクトパーツマーキングすれば、狭いスペースに膨大な量の情報を印字できます。大きな製品はもちろん、小さな部品の狭い範囲にもピンポイントで容易にマーキングできる点もメリットの一つです。

ダイレクトパーツマーキングの読み取りで生じる問題

ラベルと比較したダイレクトパーツマーキングの欠点は、以下の3つです。

  • 光の乱反射が起きることがある
  • 印字コントラストが低くなる
  • 印字品質の統一が難しい

光の反射が起きることがある

ダイレクトパーツマーキングは対象物に傷を付ける形になるため、スキャナーの光が乱反射しやすいという特性があります。ハレーションが起こると、読取機からは表面が白飛びして見えてしまい、表示印字が読み取れなくなりかねません。

印字コントラストが低くなる

レーザーマーカーや刻印機を用いたダイレクトパーツマーキングでは、対象の表面を物理的に削り取るしくみのため、印字のカラーが選べません。暗色や透明の素材への印字の場合、周辺とのコントラストが低くなり、読み取りづらくなってしまいます。

印字品質の統一が難しい

ダイレクトパーツマーキングでは、印字機の付属品の劣化や素材の性質・形状などに多少の差があるだけでも、印字の品質にばらつきが生じやすくなります。特に2次元コードの印字品質が不均一だと、正確な読み取りが極めて困難です。品質を統一するためには、印字機の定期的なメンテナンスおよび印字対象の加工が必要であり、手間とコストがかかります。

低コストのダイレクトパーツマーキングならスタンプがおすすめ!

ダイレクトパーツマーキングは、大小さまざまなパーツへの正確な印字と、リコール時の迅速な対応を可能にするトレーサビリティ向上の有効手段です。自動車産業の生産ラインにおける印字プロセスの効率化を図りたいメーカーにとって、ダイレクトパーツマーキングを導入しない手はありません。

しかし、ダイレクトパーツマーキングの印字機は、イニシャルコスト・ランニングコストがかさむのが難点です。また、操作には一定のスキルが求められ、慎重に扱わなければミスや印字不良が頻発してしまいます。

コストをかけずにトレーサビリティを確保したいなら、まずはスタンプによるダイレクトパーツマーキングを導入してみてはいかがでしょうか。「シヤチハタ」のスタンパーは、創業から約1世紀にわたり改善や改良が繰り返されてきたマーキングアイテムです。品質の高さ・使い勝手のよさ・ローコストが特長ですので、ぜひ一度お試しください。

 ▶️シヤチハタの産業用マーキング」についてのお問い合わせ・資料請求はこちら